CUIでCI-Vコントロール その2
最近,ICOMでこのようなツイートがありました.
2つのアプリをリリース!
— アイコム株式会社 Icom Inc (@Icom_Inc_Japan) 2021年11月30日
外部GPS対応アプリST-4002A(Android版)と時計設定アプリST-4003A(Android版)/ST-4003W(Windows版)を公開しました。ぜひ、ダウウンロードして、運用にお役立てください。
ST-4002Ahttps://t.co/oq8bYKdALg
ST-4003Ahttps://t.co/xRsNhZtq1q
ST-4003Whttps://t.co/d9mtZtskxz pic.twitter.com/xokpzxB22V
スマホやWindows PCからICOMのリグに対してGPS位置情報や時刻設定を流し込むアプリケーションのようです.
自分はAndroidスマホもWindowsノートPCも持っていないのでアプリの恩恵を受けることができません.加えて云うと「このアプリを動かすためにいちいち無線機に接続するのもなぁ」という感想です.他のプラットフォームでも動かせるようにオープンソースなり情報で欲しかったなぁ.
しかしリンク先を見て動きを類推すると,どうやら必要なGPSなり時刻情報をスマホなりPCから取得してCI-Vで設定しに行くだけなのではないかと思えてきました.
ちょっと前にこんな記事を書いたことがあります.
jo1mmi.hatenadiary.com
WindowsのWSLのLinuxからUSBで繋がったIC-9700の周波数を変更するコマンドを作ったという記事です.このときのやり方が適用できそうです.
実は時刻設定に関してはモチベーションがあります.IC-7300MはGoBoxに入れっぱなしにしているのですが,運用するときにバッテリを接続する使い方をしています.運用期間が空くと7300の時計設定が失われてしまいます.一発で時計を設定する機能が欲しいと思っていました.
当局では基本的に無線機に1台ずつ Raspberry Pi を繋いであって,主にFT8のデジタルモードの運用に利用しています.というわけで,Linuxコマンドとして時刻設定を無線機に対して発行すればいいということになります.
試しにIC-705で実験してみたところ,うまく行きました.
#!/bin/bash export ADR='A4' export DSET="0165" export TSET="0166" stty 19200 -F /dev/ttyUSB705 raw -echo echo "FEFE""$ADR""E01A05""$DSET""`date '+%Y%m%d'`""FD" | xxd -r -p > /dev/ttyUSB705 echo "FEFE""$ADR""E01A05""$TSET""`date '+%H%M'`""FD" | xxd -r -p > /dev/ttyUSB705
stty でシリアルデバイスを設定して,日付および時刻情報は date コマンドで取得しながら echo で作った文字列を送り込むものです.パイプした xxd でバイナリにしてデバイスにリダイレクトです.デバイスはIC-705のコントロール用シリアルデバイスをこの名前にエイリアスしておいたものです.
文字列生成にあたり,ADR が IC-705 の CI-Vアドレス,DSET が IC-705 の日付設定サブコマンド,TSET が IC-705 の時刻設定サブコマンドです.これらサブコマンドは 1A-05 コマンドの配下にあります.
CI-Vアドレスと日付・時刻設定サブコマンドを IC-7300用に変更*1し,シリアルデバイスをIC-7300に接続してあるRspberry Piのものに合わせれば,IC-7300にも適用できるはずです.
追記
ようやく IC-7300 でも試してうまくいきました.
デバイスを適切なものに変更した上で,スクリプト上のパラメータもIC-7300に合うように変更する必要があります.パラメータの変更部分は以下です.
export ADR='94' export DSET="0094" export TSET="0095"
本当は同じデバイスを使っている他のアプリケーション(FLRigとかWSJT-Xとか)とかち合わないようにしなければいけないのかもしれません.このあたりは追って勉強します.
さて,次は IC-9700 にGPS情報を送り込むべく,がんばります.
*1:日付や時刻設定など汎用っぽい設定項目のサブコマンド配置が無線機ごとに異なるとけっこう面倒くさいですね.
マイクロホン・インターフェース ― PTTスイッチの実験
マイクロホン・インターフェース
ICOM IC-9700,IC-7300Mを使っています.マイクロホン端子に機能がいくつか現れているので,それを利用したマイクロホン・インターフェース・ボックスを作ろうと考えています.
その仕様はそのうちにまとめようと思いますが,キーパッドやハンドマイクやヘッドセットなど複数のマイクの切り替え機能を盛り込もうと思っています.
PTT(Push-to-Talk)のボタンも入れるだろう,でもしっかりした機構のスイッチを探し出してきて素人工作で作り込むのが難しそうに思ったので,ワンチップマイコン+タクトスイッチでロック付きPTTの機能を拵えました.
PTTなら端子も少ないし8-pin AVRでいいだろうということ始め,ブレッドボードに部品を置いてコードを書いて動かしたところで,「あ,マイク切り替えもするならピン数の多いやつにすればよかった」と気づいた次第です.まあ,ちょこっと変更で行けそうです.
参考コード
簡単なコードなので参照したいという方が居るかどうか謎ですが,コードを置いておきます.メインの部分は上記に揚げたELMさんの情報に負うています.
なおAVR Studio 7.0でビルド&テストしました.
Raspberry Pi を無線機に繋ぐ
一時はハンディ機のみにリストラクチャリングしたアマチュア無線環境でしたが,IC-705を皮切りに拡充していきました.
現在は,これまであったハンディ機の
- IC-X2
- TH-F7
に加えて,
- IC-705
- IC-9700
- IC-7300M
を入手しました.
以前に「IC-705とコンピュータ - ブログ JO1MMI」という記事を書きました.そのときにIC-705のUSBを見てみたら,
- TIのハブ
- Prolific Technology
- TIのPCM2901 Audio Codec
が繋がっていました.
無線機にひとつRasPiを繋ぐというのはなかなかに便利で,味をしめて,今や後三者に1台ずつ Raspberry Pi を繋いでいます.
ということでこの記事では無線機のUSBの先に何がぶら下がっているかを見てみましょう.
IC-7300M
Bus 002 Device 001: ID 1d6b:0003 Linux Foundation 3.0 root hub Bus 001 Device 005: ID 08bb:2901 Texas Instruments PCM2901 Audio Codec Bus 001 Device 004: ID 10c4:ea60 Cygnal Integrated Products, Inc. CP2102/CP2109 UART Bridge Controller [CP210x family] Bus 001 Device 003: ID 0451:2046 Texas Instruments, Inc. TUSB2046 Hub Bus 001 Device 002: ID 2109:3431 VIA Labs, Inc. Hub Bus 001 Device 001: ID 1d6b:0002 Linux Foundation 2.0 root hub pi@rp4v7300:~ $
IC-9700
pi@rp4v9700:~ $ lsusb Bus 002 Device 001: ID 1d6b:0003 Linux Foundation 3.0 root hub Bus 001 Device 006: ID 08bb:2901 Texas Instruments PCM2901 Audio Codec Bus 001 Device 005: ID 10c4:ea60 Cygnal Integrated Products, Inc. CP2102/CP2109 UART Bridge Controller [CP210x family] Bus 001 Device 004: ID 10c4:ea60 Cygnal Integrated Products, Inc. CP2102/CP2109 UART Bridge Controller [CP210x family] Bus 001 Device 003: ID 0451:2046 Texas Instruments, Inc. TUSB2046 Hub Bus 001 Device 002: ID 2109:3431 VIA Labs, Inc. Hub Bus 001 Device 001: ID 1d6b:0002 Linux Foundation 2.0 root hub pi@rp4v9700:~ $
なんのひねりもなく,今日はここまで.
IC-7300M用Go-Boxの製作
はじめに
以前に IC-705用の持ち出しボックスを作った.
jo1mmi.hatenadiary.com
IC-705本体,RasPi,ATU,バッテリ,その他ケーブル類を片手で運ぶことができて,主に家庭内の持ち運び(我が家は運用の都度アンテナおよび無線機を設置するスタイルのため)に便利している.でも全部入りはちょっと重いかな.本体だけサクッと持ち出す状況も視野に,改善は続く.
そして今回は IC-7300M の Go-Box のお話である.
繰り返しになるが我が家ではHF/50MHzの運用はその都度アンテナを設置するスタイルになっている.南側ベランダ*1にVダイポールやモービルホイップやヘンテナフォークを設置し,普段は北側の辛うじて受信用に設置している磁界ループアンテナ(MLA)に繋がっている無線機を外してきて南側リビングルームに移動して運用している.
IC-705で必要十分なはずなのだが「昔はもっとDXできていたよなぁ」という誤ったノスタルジー*2によって,パワー欲しさ(といっても50Wだが)にIC-7300Mも買ってしまったのだ.当初はFT-991AMをポチりかけたのだが訳あって取りやめ,いや,今はいい.
IC-7300MのGo-Box検討
で,IC-7300Mである.
そもそも移動運用を視野に入れての50W機選択なので,楽に持ち出す方法を模索していた.IC-705用持ち出しボックスで採用したハンドルをつけた買い物かご様のものを板材で作ってこれにIC-7300Mを収めるようなことを考えていたが,「Go-Box」で検索して出てくるプラットフォームは既製品のEIAの19インチラックケースを流用したものが多いようだ.
www.google.com
ラックケースに収めてしまうと出し入れが面倒くさい.おまけに今はラックケースのまま展開できるようなスペースが部屋にない*3.ラックケースに収めたが最後,嵌め殺しになってしまいそう.
だがそれでもいいか,と思うに至った.タケ先輩の「おかもち無線機」がインプットである.
そもそもIC-705とIC-7300Mをひと所において場所と受信アンテナを奪い合うスペース状況である.IC-705を普段遣いにしておいて,IC-7300Mには箱に入っていてもらおう.
箱の中にはもう少し便利機能を入れたい.以下のような機能は持っておきたいと考えた.
- バッテリを同梱したい
- バッテリ電圧を把握したい
- USB 5V電源を装備したい
- Raspberry Piを装備したい
- スピーカを装備したい
- 後ろの配線(特に電鍵)を手前でI/Fしたい
- いたずらに大きくしたくない
同梱するバッテリーは最近話題の LiPOFe4タイプのこれにした.
ケースは3Uで.高さ的にピッタリではある.置き場所の問題なければ4Uサイズにして配線の取り回しやジャック類の立ち上げに使うなどしたかった.そのほうがスペース的にも熱的にも余裕があって良いと思う.
ラックケースの中で無線機が暴れないようにするには固定する必要がある.EIAラックでスリット有りのテーブルがあったのでこれを利用した.無線機側にはモービルブラケット.
バッテリーは大きくズレないようにステーで固定する方針で.
ラックケースに収まるか,テーブルに収まるかどうかを入念に検討した.
IC-7300MのGo-Box組み込み
適度な長さのネジがなかったので長めのネジを切断することになったのとテーブルのスリットとモービルブラケットのミートする箇所が限定的だったのが予想外だったが,なんとか収めることができた.
加えて言うとテーブル横の返しの部分とモービルブラケットの無線機固定ネジが干渉しそうになったりして,組み上げ順序によってはデッドロックしそうになるので注意が必要である.
バッテリの端子保護部はコレ
バッテリの縛り上げに使ったベルクロはコレである.
リアにはブランクパネルを取り付けることにした.
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ちゃっちい薄いアルミのパネルで2500円もした.楽器店で買うよりもタカチのブランクパネルのパーツを電子部品店で取ってもらったほうが良いものが安く買えると思う.マーケットが違うと商売の仕方も変わってくるということか.
最終的にはリアにブランクパネルを取り付けて,MコネとGND端子を立ち上げて,バッテリはブランクパネルも一体で縛るようにした.バッテリを取り外すときはベルクロをほどいてブランクパネルを外すとススっと抜けるようになっている.
正面から見るとこんな感じ.IC-7300Mとバッテリの重さに耐えきれずテーブルがたわんできてしまったので前後に当て木を入れてある.
以前に作った外付けスピーカをこちらのGo-Boxに移植した.隙間の黒い箱は電鍵ジャンクションボックス.これらはレーブルに貼ったベルクロで止まっている.
写真追加
ところで写真を取り忘れてしまったが シガープラグソケットをブランクパネルに貼り,USBポートの付いたシガープラグカーチャージャーを取り付けている.モノはコレら.裏面配置だけど電圧表示をしてくれるの便利.RasPiの電源になっている.
IC-7300MにつなぎっぱにしてリグコントロールからFT8の変復調などをこなしているRaspberry Piであるが,常設の場所を用意できなかった.やはり3Uは狭かったか.
でもこんな感じで居場所を作って,常にラックケースの中にある.時々出してアップデートしたり,ログを抜いたりしてやらんといかんけど.
使用感
作りっぱなしではイケナイと考え,使用感の節を追加しました.
箱ごとリビングルームに持ち込んでRasPiを接続.物干し台に基台を設置してモービルホイップとカウンターポイズを垂らして,アンテナチューンして準備完了です.FT-891のようなコンパクト50W機にしなかったのはオートチューナ内蔵を優先したから.アンテナのパラメータはきっちりと調整で追い込みたいのはやまやまなのですが,我が家のように都度設置,カウンターポイズの状況も毎回異なる,運用できる時間も限られるという条件にあってはアンテナチューナは大変ありがたい存在です.
それもあってワンボックスになっているのは本当に便利.電源を北側の部屋から外して持ってくるのも面倒で,家の中でもバッテリ運用しています*4.
ただ,まあ,重い.IC-7300M と バッテリ と ラックケース本体 と あとスチールのトレイ なので重量あります.取っ手があるのは良いですが,家の中でもえっちらおっちら運んでいます.自家用車も持っていないし,外に持ち出すときはキャリーが必要ですね.もっとも行き先は近所のPOTA登録公園ぐらいなのですが.
買ったもの
IC-7300M用Go-Boxを組むに当たり買い求めた機器・材料を記す
ラックケースはサウンドハウスがプロデュースするブランド,CLASSIC PRO のものを利用したが,全体のボコり感,蓋の嵌合・密閉度の点で価格なりだという印象だ.私は以前はSKBやGatorを多用していた事があって,それらのほうが品質が高かったという感想を持った.ただ以前に比べて今は2社ともかなり価格が上がってしまったようだし,製品も先鋭化されていっているので,SKB/Gatorであればすべて解決,という感じでも無さそう.
また製作記述中でも触れたが,メッシュのトレイは明らかにたわんだ.今回は板材を挟み込んで対応したが,本来であれば強度のあるトレイを選びたい.スチールなので穴なしへの穴あけは辛いと思うし,機器固定用に穴を開けてあるトレイと放熱目的で穴を開けてあるトレイなど種類があり,後者は強度の点で疑問もある.いくつかの製品を吟味検討したほうが良いと思う.
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IC-705用持ち出しボックスの製作
はじめに
我が家ではアマチュア無線の交信を行うときには,機材一式をベランダ側リビングに移動させて,アンテナをベランダに展開して,といった手順が必要です.無線機,マイク,電鍵,RasPi,ATU,電源関係,ケーブル,アンテナ基台,アンテナ,ログブックなどを移動させるわけですが,機材の置いてある部屋となんども行ったり来たりする必要がありました.
無線機周辺だけでもなんとかならないものか,と,このあたりをひとまとめにする持ち出しボックスを考えました.
製作過程
仕様
IC-705のスタンドとして Newer の Z型雲台を使用しており,これをそのまま使いたいと考えました.
また,ボックス的なものに仕立てて,ATU-100 と USB-PDバッテリ を納めたい.実は前述のZ型雲台はあまり角度をつけると転んでしまうのが難点でした.ある程度の大きさのボックスに取り付ければ転ばなくできるだろうという考えもありました.
さらにハンドルを取り付けて片手で持ち運びできる.ハンドルは測定器でよくあるような傾斜をつけるスタンドとしても働いて欲しい,と,こういった希望を仕様としました.
製作
実はいちど,1x4材を利用して作成したのですが,1x4材が厚すぎる・重すぎるという結果となってしまいました.失敗でした.
IC-705の台を作ったけれど、これは失敗だ。 pic.twitter.com/cTVACcFafj
— Steve T. (@JO1MMI) 2021年4月10日
そこでもう少し薄い合板かMDF材で作ろうと考えて,いつか東急ハンズへ行く日を夢見ていましたが,コロナ在宅勤務でぜんぜん外出の機会がありません.徒歩圏の100円ショップの材料を使ってみることにしました.
自分でノコギリを手引きした場合の垂直に自信がなかったので,100円ショップ材料を極力加工しない方針に.加工したところは接着面にしないようにしました.
カット後
ATU-100 が納められる奥行き200mmを確保しています.
それにしても100円ショップの木材,とてもスカスカな感じがします.「バルサじゃないよね?」と思うぐらい.MDFもなんか密度が低い感じ.MDFのほうはそのまま使うとして,サイドにあたる木材の木口(接着しない面)にはシアン系瞬間接着剤を染み込ませました.シアノアクリレートによる強化を期待します.
あと鋸引きの終端処理で失敗して,ささくれが出来てしまいました.接着面に当たる部分なので,ここはタミヤのポリパテで埋めることにしました.
トップイメージ
IC-705とRasPiが載ったトップ面のイメージです.
写真ではわかりませんが,トップ面には穴を開けてあって,1/4インチのオスのネジを通して Z型雲台 を固定するようになっています.調達したスレッドネジが長さ方向に自由度がなく(長いくせにねじ切っている部分が短い),現物合わせですが,この部分はトップのMDFを2枚重ねにしています.
ハンドル用加工
タカチのステップハンドルブラケットが取り付けられるように加工しています.φ5.5 x3,うち真ん中のみ貫通,上下のものは3mm程度のザグリです.スターエムの竹用ドリルφ5.5を使用しました.加工穴にはシアン系瞬間接着剤を染み込ませてあります.
グリップ加工
タカチのハンドルグリップは規定定尺なので,今回作成のケースに合うように切断加工します.今回370mmを購入していたので300mmになるようにカットしました.押出材で単純なパイプではないので若干やっかいですが,アルミなので切断の苦労はあまりなかったです.
アルミのカットが嫌な人は定尺をそのまま使う箱設計にすると良いでしょう.160/210/260/320/370/430mm が標準として用意されています.あるいは希望する長さをタカチに発注できるかも知れません.
箱組み
接着押さえ中の写真ですが,箱型に組み上げます.なおカッティングシートを貼りますが,箱組が終わってからでは作業しづらい部分への貼り込みを済ませてあります.
ステンレス板貼付
トップにエレキーパドルを磁石固定するためのステンレス板を貼り付けます.厚み0.5mmのものを貼りました.0.5x50x100mmの寸法のものがアマゾンにあって,無加工でそのまま瞬間接着剤で貼り付けました.
私は左手でパドル操作するので左に.いちおうなにかのために右側にも貼っておきました.
アルミ板貼付
ステップハンドル取り付け穴のネジ止め補強のためにアルミ板を貼り付けました.ワッシャだけでは木材に喰い込んでダメにしそうな気がしたので.0.5mmのアルミ板を使いましたが,1mmぐらいあったほうが良かったかも知れません.
完成
残りの部分にシートを貼って,完成した持ち出しボックスです.ステップハンドルを回転させることが出来ます.
IC-705搭載1
IC-705を搭載するとこんな感じ,箱部分にATU-100やモバイルバッテリを収めることができます.固定の方法は今後考えます.スペース的にゆとりがあるのですが,この部分にはマイクとか,RFの変換コネクタやエレキー接続用のケーブルやらを納められるような引き出しを仕込みたいです.
IC-705搭載2
ステップハンドルを支えにボックスにスラントを付けて,その上でZ雲台でIC-705は正面向きにすることが出来ます.
移動運用などで目線と同じ高さに設置できない場合に,このティルトは便利なのではないでしょうか.
今後
今後はATU-100やモバイルバッテリの固定方法を考えます.あと,RasPi もですね.
また,これを屋外に持ち出すことを考えて,ハンドルを活かしつつ要処を覆うカバーを作ろうと考えています.
資料
寸法等
- W300,H103,D200(突起物除く)
板取りは,90x200 の左右の板を 300x200 の上下の板で挟む形になっています.
木工ボンドで接着,補助材を渡しています.ささくれて凹んだところにはタミヤのポリパテ.
材料
- タカチ ステップハンドルブラケット
- タカチ ハンドルグリップ
- 板材 ダイソーで購入した 400x200 のMDF材,90x400 の板材
- シアン系瞬間接着剤
- 5mmネジ
- 1/4インチ スレッドネジ(三脚,カメラ,フラッシュなど対応)
- 0.5mm厚 ステンレス板 Hikari SZ554 0.5x50x100mm
- 0.5mm厚 アルミ板 Hikari AZ551 0.5x50x100mm
- 木目調リメイクシート
ATU-100の組み立て
アマゾンで4539円で買ったオートアンテナチューナATU-100のキットを組み立てました.
ATU-100 は N7DDC が開発したオープンハード,オープンソースのATUプロジェクトで,さまざまなところからキットが売られています.たとえばこんなの.
ATU-100 は完成品も売られています.リポ電池を内蔵したものもあったりしますが,DC-DCでノイズを撒いているっぽくて「電池を外した」などの記載をいくつか見ました.自分で工夫のできるキットがおすすめです.
工夫
特に大きな工夫はありませんが,いくつか手を入れたこととか.
L
このATUの仕組としてはリレーでLCネットワークの定数を選択しながらSWRが妥当なところに落とし込む方式です.なので,なるべくLの値が設計想定値に近いほうがいいだろうと考えて,LCRメータで値を見ながら空芯コイルやトロイダルコイルを巻きました.そのため組み立てインストラクションよりも1,2ターン巻数が少ないものができました.
個人的に高周波系の電子工作は経験が少なく,L巻き作業もそんなにしたことがなかったので,勉強になりました.
ケース
ケースはタカチのものを使いました.けっこう奥行きがカツカツです.もう一回り大きいものにしたほうが無難でしょう.SMAコネクタを基板直付けしてケースパネル貫通で引っ張り出しています.
OLEDディスプレイの向きを間違えたケース加工をしてしまいました(うーむ).
シリコンバンド付アルミモバイルケース(PDF)
タンデムマッチ
タンデムマッチトランスの巻線比を変えています.これは数Wの電力でチューニングを取ろうとした場合にキットオリジナルの巻線比では適切なSWR検出ゲインが得られないらしいという話があって,それに対応した改造です.以下の動画に具体的な手順が詳しいです.この改造にあたっては巻線比変更に合わせてマイコン(のフラッシュかEEPROMか)に書かれているATU-100の設定パラメータを書き換えたほうが良いです.電力表示が正しくなります.
www.youtube.com
ちなみに私は書き換え時にやらかしてしまいました.PICKit4 のツールを初めて使ったのですが,Writing専用ツールを使うところをIDEからWritingツールを使ってしまいました.空のプロジェクトをビルドしてATU-100のマイコンに書き込んでしまいました.
慌てて本家のGitHubからオブジェクトをもらってきて書き込みましたが,ディスプレイが表示されません.ATU-100プロジェクトでは複数のLCD/OLEDディスプレイに対応できるようにこのあたりの設定も書き換え可能になっています.キットに使用されていたOLEDディスプレイに合ったディスプレイ設定値を書き込んで事なきを得ました.オープンソース万歳.
GitHub - Dfinitski/N7DDC-ATU-100-mini-and-extended-boards
電源周り
IC-705で使用することを想定して電源ケーブルを作りました.
他の無線機との兼ね合いもあって XT60コネクタで電源システムの構築をしようとしていたので,これを使ってIC-705本体とATU-100に電源供給する2分岐ケーブルを作りました.
初期検討でポータビリティの面から電池利用を考えました.ニッケル水素3本から12Vに昇圧(ストロベリー・リナックスのDC-DCを試用)してATU-100の電源にしてみたのですが,DC-DCをATU基板に近づけるとノイズが混入しました.それもけっこう強い.ケース内で上手に遮蔽できる気がしないのでDC-DC利用は諦めました.
またATU-100の消費電流を見てみました.リレーがラッチングではないのでON/OFFの個数に応じて電流量が変化します.いろいろTUNE取って試した範囲では26~100mAぐらいの消費です.この電流だとそもそも電池利用は難しかったなと思います.
参考リンク
TUNEボタンを押すのでなく,IC-705本体からやりたいなーという場合には以下のリンクが参考になるかも知れません.自分では やっていないのでわからんですが.
追記
以下のページを参考にしてATU-100にインターフェースを追加しました.ステレオミニプラグでIC-705と接続して,IC-705からATU-100のON/OFF,Tuneの制御ができるようになりました.使い勝手としては AH-705 とおそらく同等だと思います.でも AH-705 はラッチングリレー使用で単三電池2本駆動できるのが羨ましいです.
IC-705用キーパッド
FRISKケースをIC-705の外部キーパッドケースにする.
IC-705のキー端子から引っ張ってくるが,並列に繋げばパドルも併用できるのでそのような結線にしている.
FRISKケースの内部でっぱりを削る
リュータを取り出してきて作業.小部屋部分も少し削る.これによって下記写真左下部のφ3.5ジャックが収まるようになる.
秋月の基板で内部配線
基板はジャック部分をくり抜くように加工する.ジャックがFRISKケースの内部高さに対してぎりぎりであるため.穴あけ位置も気を遣う必要がある.若干上目に穴あけしてしまった場合はジャックの足を曲げるなどして高さに収めるようにする.
φ3.5ジャックの固定のための穴あけはφ6.FRISKケースの底面厚みは1mm弱と考えられるので,底面から4mmを中心としたφ6穴を開けると良いようだ.穴あけにはスターエムの竹用ドリルを使用.滑って中心点がずれるということを起こしにくい.
電気的には 1k5 ×2,2k2,4k7 で1回路分4接点.
ケーストップの穴あけについては,基板の2.54mmを利用したスケールを作成して穴あけ後,その穴の嵌合が合うようにタクトスイッチを基板実装してからはんだ付けを行った.ひとつひとつをよく見ると基板に対してはズレたりナナメったりしているが,ケーストップの穴とはよく合っているという状態を得られる.なおケーストップのボタン穴はφ3のスターエム竹用ドリルで開けたあと,φ3.5の一般的なドリルで拡張したものである.
基板はケースに固定していないが,タクトスイッチとの関係で若干高さを稼ぐ必要があったのでウレタンクッションの両面テープを使用し,基板側には糊が有効だがケース側には剥離紙を剥がさないままにしている.
シールの加工
もともとのFRISKケースのトップシールをそのまま利用してもよいが,今回はいったん剥がしてしまったので,オリジナルで作成することにした.
100円ショップのダイソーで買ったA4ラベル光沢紙にインクジェットプリンタで印刷したが,軽く撫でるだけで黒が落ちてしまった.そこで印刷面を撫でても色落ちしないように保護シールを貼った.ボタン穴についてはクラフトナイフで切ってもよいがこのサイズだと穴あけが汚くなりがちだったためパンチャを利用した.φ3.5でパンチしたかったが,最終的には手持ちのハトメパンチについている穴あけパンチ(穴径 5mm)を利用し,一回り大きい穴あけを行っている.
作成したトップシールを貼り付けて完成である.
リンク
- IC-705 | 取扱説明書 | サポート情報 | アイコム株式会社
- 使用した部品は秋月製
- シールの製作
- ケースへの穴あけはスターエム竹用ドリル