IC-7300M用Go-Boxの製作
はじめに
以前に IC-705用の持ち出しボックスを作った.
jo1mmi.hatenadiary.com
IC-705本体,RasPi,ATU,バッテリ,その他ケーブル類を片手で運ぶことができて,主に家庭内の持ち運び(我が家は運用の都度アンテナおよび無線機を設置するスタイルのため)に便利している.でも全部入りはちょっと重いかな.本体だけサクッと持ち出す状況も視野に,改善は続く.
そして今回は IC-7300M の Go-Box のお話である.
繰り返しになるが我が家ではHF/50MHzの運用はその都度アンテナを設置するスタイルになっている.南側ベランダ*1にVダイポールやモービルホイップやヘンテナフォークを設置し,普段は北側の辛うじて受信用に設置している磁界ループアンテナ(MLA)に繋がっている無線機を外してきて南側リビングルームに移動して運用している.
IC-705で必要十分なはずなのだが「昔はもっとDXできていたよなぁ」という誤ったノスタルジー*2によって,パワー欲しさ(といっても50Wだが)にIC-7300Mも買ってしまったのだ.当初はFT-991AMをポチりかけたのだが訳あって取りやめ,いや,今はいい.
IC-7300MのGo-Box検討
で,IC-7300Mである.
そもそも移動運用を視野に入れての50W機選択なので,楽に持ち出す方法を模索していた.IC-705用持ち出しボックスで採用したハンドルをつけた買い物かご様のものを板材で作ってこれにIC-7300Mを収めるようなことを考えていたが,「Go-Box」で検索して出てくるプラットフォームは既製品のEIAの19インチラックケースを流用したものが多いようだ.
www.google.com
ラックケースに収めてしまうと出し入れが面倒くさい.おまけに今はラックケースのまま展開できるようなスペースが部屋にない*3.ラックケースに収めたが最後,嵌め殺しになってしまいそう.
だがそれでもいいか,と思うに至った.タケ先輩の「おかもち無線機」がインプットである.
そもそもIC-705とIC-7300Mをひと所において場所と受信アンテナを奪い合うスペース状況である.IC-705を普段遣いにしておいて,IC-7300Mには箱に入っていてもらおう.
箱の中にはもう少し便利機能を入れたい.以下のような機能は持っておきたいと考えた.
- バッテリを同梱したい
- バッテリ電圧を把握したい
- USB 5V電源を装備したい
- Raspberry Piを装備したい
- スピーカを装備したい
- 後ろの配線(特に電鍵)を手前でI/Fしたい
- いたずらに大きくしたくない
同梱するバッテリーは最近話題の LiPOFe4タイプのこれにした.
ケースは3Uで.高さ的にピッタリではある.置き場所の問題なければ4Uサイズにして配線の取り回しやジャック類の立ち上げに使うなどしたかった.そのほうがスペース的にも熱的にも余裕があって良いと思う.
ラックケースの中で無線機が暴れないようにするには固定する必要がある.EIAラックでスリット有りのテーブルがあったのでこれを利用した.無線機側にはモービルブラケット.
バッテリーは大きくズレないようにステーで固定する方針で.
ラックケースに収まるか,テーブルに収まるかどうかを入念に検討した.
IC-7300MのGo-Box組み込み
適度な長さのネジがなかったので長めのネジを切断することになったのとテーブルのスリットとモービルブラケットのミートする箇所が限定的だったのが予想外だったが,なんとか収めることができた.
加えて言うとテーブル横の返しの部分とモービルブラケットの無線機固定ネジが干渉しそうになったりして,組み上げ順序によってはデッドロックしそうになるので注意が必要である.
バッテリの端子保護部はコレ
バッテリの縛り上げに使ったベルクロはコレである.
リアにはブランクパネルを取り付けることにした.
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ちゃっちい薄いアルミのパネルで2500円もした.楽器店で買うよりもタカチのブランクパネルのパーツを電子部品店で取ってもらったほうが良いものが安く買えると思う.マーケットが違うと商売の仕方も変わってくるということか.
最終的にはリアにブランクパネルを取り付けて,MコネとGND端子を立ち上げて,バッテリはブランクパネルも一体で縛るようにした.バッテリを取り外すときはベルクロをほどいてブランクパネルを外すとススっと抜けるようになっている.
正面から見るとこんな感じ.IC-7300Mとバッテリの重さに耐えきれずテーブルがたわんできてしまったので前後に当て木を入れてある.
以前に作った外付けスピーカをこちらのGo-Boxに移植した.隙間の黒い箱は電鍵ジャンクションボックス.これらはレーブルに貼ったベルクロで止まっている.
写真追加
ところで写真を取り忘れてしまったが シガープラグソケットをブランクパネルに貼り,USBポートの付いたシガープラグカーチャージャーを取り付けている.モノはコレら.裏面配置だけど電圧表示をしてくれるの便利.RasPiの電源になっている.
IC-7300MにつなぎっぱにしてリグコントロールからFT8の変復調などをこなしているRaspberry Piであるが,常設の場所を用意できなかった.やはり3Uは狭かったか.
でもこんな感じで居場所を作って,常にラックケースの中にある.時々出してアップデートしたり,ログを抜いたりしてやらんといかんけど.
使用感
作りっぱなしではイケナイと考え,使用感の節を追加しました.
箱ごとリビングルームに持ち込んでRasPiを接続.物干し台に基台を設置してモービルホイップとカウンターポイズを垂らして,アンテナチューンして準備完了です.FT-891のようなコンパクト50W機にしなかったのはオートチューナ内蔵を優先したから.アンテナのパラメータはきっちりと調整で追い込みたいのはやまやまなのですが,我が家のように都度設置,カウンターポイズの状況も毎回異なる,運用できる時間も限られるという条件にあってはアンテナチューナは大変ありがたい存在です.
それもあってワンボックスになっているのは本当に便利.電源を北側の部屋から外して持ってくるのも面倒で,家の中でもバッテリ運用しています*4.
ただ,まあ,重い.IC-7300M と バッテリ と ラックケース本体 と あとスチールのトレイ なので重量あります.取っ手があるのは良いですが,家の中でもえっちらおっちら運んでいます.自家用車も持っていないし,外に持ち出すときはキャリーが必要ですね.もっとも行き先は近所のPOTA登録公園ぐらいなのですが.
買ったもの
IC-7300M用Go-Boxを組むに当たり買い求めた機器・材料を記す
ラックケースはサウンドハウスがプロデュースするブランド,CLASSIC PRO のものを利用したが,全体のボコり感,蓋の嵌合・密閉度の点で価格なりだという印象だ.私は以前はSKBやGatorを多用していた事があって,それらのほうが品質が高かったという感想を持った.ただ以前に比べて今は2社ともかなり価格が上がってしまったようだし,製品も先鋭化されていっているので,SKB/Gatorであればすべて解決,という感じでも無さそう.
また製作記述中でも触れたが,メッシュのトレイは明らかにたわんだ.今回は板材を挟み込んで対応したが,本来であれば強度のあるトレイを選びたい.スチールなので穴なしへの穴あけは辛いと思うし,機器固定用に穴を開けてあるトレイと放熱目的で穴を開けてあるトレイなど種類があり,後者は強度の点で疑問もある.いくつかの製品を吟味検討したほうが良いと思う.
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