けっこう忙しくなっちゃって

昨年末以降忙しくなっちゃいました.
無線もNYPはなんとか出られたものの,その後はさっぱり.というか,QSLカードの整理や発送すらできていません,ごめんなさい.
親族が亡くなって挨拶やら残務やら日々の作業の引き継ぎやら,残った人の世話やら,やることがけっこう増えました.それ以外に会社づとめの仕事も普通にあるので負担増です.おまけに会社の方は業績が良くなくて,計画書に細かいニュアンスを要求されて,1年のうち9ヶ月は計画書を作るフェーズですよ.「それは何と言う『ブルシット仕事』(経済用語)か」状態ですね.
そんなこんなしていたら自身の昔の怪我からの後遺症が悪化して,それを庇っていたら新たに怪我をしたりして,良いことなしです.
そういう状態なのでtwitterも3月を最後にお休み状態なのですが,最近FAVやRTの通知がたて続けに来ました.どうやら1年ぐらい前に時限で仕込んでいたツイートがイッシューされたようでした.時限ツイートにしたことをすっかり忘れていて,かなり昔のツイートがどうして今ごろ取り沙汰されているのかと思っちゃいました.
いつかはこういう状態から脱却する日が来ると思いますので,その時はまたよろしくお願いします.

あれ,そういえば,JARLのQSL転送料を払い込んだのに証書が来ないな…

サイドトーン発生器

波形テーブルルックアップのDDS方式で正弦波を出力する,単なる発振器です.
エレキーなどと組み合わせてモールスのサイドトーンにするような想定で600~900Hzで発振周波数が可変できます.
ON/OFFの機能は今のところありません.

AVRマイコン,ATtiny85を使っています.このシリーズは内部RC発振器に加えてPLLが載っています.RCを源発振にPLLを動かし64MHzを生成,2回叩いた16MHzでCPUを動かします.64MHzはそのままタイマに供給できます.これで8bitタイマを駆動してPWMすると64MHz/8bit = 250kHz周期のPWMとなり,後ろに繋ぐLPFが簡単になりますので,8ピンマイコンにRCフィルタを付けるだけという簡便さで,波形生成を行うことができます.
今回は正弦波テーブルをルックアップする形でのDDS方式です.
Fractional accumulator のフォーマットは F12.20 として整数部12bit,小数部20bitを確保します.ルックアップテーブルは 4096ステップ(=12bit),語調は8bitです.ATtiny85のEEPROMサイズが4KBであるというところから決めました.正弦波テーブルは4096ステップで1周期分です.正弦波の周期性からうまく折り返せば1周期の1/4のテーブル格納サイズですみますが,今回は何も考えずにそのまま持っています.小数点に20bitを確保しているものの,出力周波数を,12bitのADC値からポイントされる600~900Hzで振る分にはほとんど使われることはないでしょう.


/*
 *
 *	Title:		CW Sidetone
 *	Software:	
 *	Target:		ATtiny85
 *
*/
/*
 *	CKSEL[3:0]  : PLL clock 16MHz
*/


#include <inttypes.h>
#include <avr/io.h>
#include <avr/eeprom.h> 
#include <avr/pgmspace.h>
#include <avr/interrupt.h>
#include <avr/sleep.h>

// 4Kbyte 8bit sine table ... period of one cycle
#include "table.h"

#define F_CPU 16000000
#define FS (F_CPU/256.)


// Phase Accumulator notation
//		12.20 : [b11 b10 b9 ... b1 b0 (.) f0 f1 ... f18 f19]

// phase acc fractional format : (select one)
//		12.20 -> NTABLE 4096, 20bit shift
//		FORMAT12_20

// NTABLE for Number of sinusoidal TABLE for one cycle
// kstep for frequency value calculation
// FORMAT12_20
#define NTABLE 4096
#define _KSTEP 65536
//const double kstep = 1. * 1024. * 1024. * (double)NTABLE / FS;


/*
	How to calculate acc update step value(N) for f[Hz]

      N = FS / f

		ex)
			105 -> 595.24Hz
			 83 -> 753.01Hz
			 69 -> 905.80Hz

*/
/*
	How to tie ADC value to osc frequency(update step)
			(105-69)/128 = 0.28125   128: 7bit ADC

			<update step> = 105 - 0.28125 * <ADC value>

*/
#define LFREQ 600L
#define HFREQ 900L
#define ADCRANGE 256


// Port definition
#define PWM_A       OCR1A
#define PWM_A_BIT   PB1
#define PWM_A_PORT  PORTB
#define PWM_A_DDR   DDRB


// Phase accumulator structure definition
struct _Phase {
	uint32_t	step;
	uint32_t	acc;
};

// Phase acc instantiation
volatile static struct _Phase Osc = { 0, 0 };

volatile static uint8_t gflg_ADC = 0;


/* Timer0 sampling output every 256-cycle  */
//   FCPU = 20MHz -> 
//   FCPU = 16.7MHz ->
ISR(TIM0_OVF_vect)
{
	static uint16_t ptr;
	static uint16_t tmp;
	static uint8_t cnt;

	PWM_A = pgm_read_byte(&tblSine[ptr]);

	// FORMAT12_20
	//	20-bit shift because fractional part in the phase accumulator is 20-bit.
	//	ptr = Osc.acc>>20;
	tmp = Osc.acc / 65536;
	ptr = tmp>>4;

	Osc.acc += Osc.step;	// phase accumulator update of Modulator

	// ADC execution semaphore
	if (!cnt++)				gflg_ADC = 1;

}


void init(void)
{
	// ports
	PWM_A_DDR |= (1<<PWM_A_BIT);	// PWM_A port as output

	// PLL enable for PWM 64MHz clock
	PLLCSR = (1<<PLLE)|(1<<PCKE);

	//	timer1 for PWM output
	TCCR1 = (1<<PWM1A)|(1<<COM1A1)|(1<<CS10);
	GTCCR = 0;

	//	timer0 for periodical phase update
	TIMSK |= (1<<TOIE0);

	// start timer0
 	TCCR0A = 0;
	TCCR0B = (1<<CS00);

	//		adcs
	// ADC1 Frequency
	// b001000xx : Vref=Vcc, shifted left, ADC1
	ADMUX = (0<<REFS1)|(0<<REFS0)|(0<<ADLAR)|(0x01<<MUX0);
	ACSR = (1<<ACD);
	DIDR0 = (1<<ADC1D);
	ADCSRA = (1<<ADEN)|(0x07<<ADPS0);
	ADCSRB = 0x00;

}

int main(void)
{
	volatile static uint16_t  adc_data;
	volatile static uint32_t N, tmp32;

	init();
	sei();

	while (1) {

		sleep_mode();

		// A/D Conv.
		if (gflg_ADC) {
			ADCSRA |= (1<<ADSC);
			while (ADCSRA & (1<<ADSC))
				;
			
			adc_data = ADC >> 2;
 			N = (uint32_t)(LFREQ*256 + (HFREQ-LFREQ) * adc_data);  // =<update step> *16
			//          calculated <update step> puts HERE
			//                            <b7 ... b1 b0 (.) f0 f1 ... f7>
			//		12.20 : [b11 b10 b9 b8 b7 ... b1 b0 (.) f0 f1 ... f7 f8 ... f18 f19]

//			tmp32 <<= 12;
			tmp32 = N << 8;

			cli();
			Osc.step = tmp32;
			sei();

			gflg_ADC = 0;
		}

	}

	return 0;
}

最近 Raspberry Pi でやったこと

最近 Raspberry Pi でやったことをメモっておきます.

RasPi Zero WH

どうしてもdmonitorを動かすことのできない我が家のRasPi Zero WHにもう一度wsjtxを入れてみようとしました.

  • OSを入れるところから行った
  • 32bitの Bullseyeベースの Raspberry Pi OS を選択
  • ところが WSJT-X 2.5.4,2.6.0-RC1 いずれも(コンパイル済)パッケージ版は Buster版 OSでないと導入できないとのこと*1
    • 特定のライブラリがバージョン番号が合わないだけの問題だが再コンパイルが必要になる
  • そういうことなら Bullseye でのビルドにチャレンジ
  • wsjtx の INSTALLS の通りでは足りないライブラリパッケージがあり,オーディオデバイスを選べないwsjtxができてしまった
  • パッケージを足して(追記リンク)ビルドしてビルドでき,問題なく動作
  • 2.5.4,2.6.0-RC1 ともにビルドに成功
  • それ以外のツールは AmRRON script でインストールしたが,AmRRON も Busterが前提なのでベストエフォートで(追記リンク)

いずれ RasPi Zero2 W が買えるようになったら Bullseye/wsjtx を導入してどれぐらいのデコード性能になるか確認してみたい.

RasPi 4(2GB)

IC-705に繋ぎっぱになっていた Buster版 RasPi4 の OSを64bitにしようと敢行.

  • 64bitの Bullseyeベースの Raspberry Pi OS を選択
  • Pi Zero WH同様の手順を踏んでwsjtxのビルドに成功
  • AmRRON script はOSバージョン違いの上,32/64bitでアーキテクチャ違いもあり導入できないライブラリ多し
  • 諦めて実使用上で必須である FLrig と FLdigi を個別にビルド(追記リンク)
    • FLrigは動作確認済.wsjtx から FLrig をCATサーバにして使用
    • FLdigiは動くことは確認したが実動作は見ていない
  • QSSTV のビルドはまだ.早々に試したい.

実用を切り替えても問題なさそう.2.6.0-RC1 が正式リリースが出たら 64bit Bullseye でビルドして,IC-9700,IC-7300 の RasPi4 のOSも入れ替えたい.


追記 (2022/07/24)

「パッケージを足して」に関して

INSTALL を読むと以下のパッケージをインストールする必要がある.

To build WSJT-X from sources you need some prerequisite tools and
libraries.


On Linux:


build-essential
gcc-4.8.2 or clang-3.4 or newer
g++-4.8.2 or clang-3.4 or newer
gfortran-4.8.2 or newer
CMake-2.8.9 or newer
git
asciidoc
asciidoctor
texinfo


Also qtmultimedia5-dev, libqt5serialport5-dev, qttools5-dev,
qttools5-dev-tools, libboost-all-dev, libfftw3-dev,
libreadline-dev, libusb-1.0-0-dev, libudev-dev, and
portaudio19-dev. Note that these are Debian dpkg style package
names, other distributions will have different package names and
package contents. For example on RedHat RPM style distributions
the packages will be something like qt5-qtmultimedia-devel,
qt5-qtserialpport-devel, qt5-linguist, boost-devel, fftw-devel,
readline-devel, systemd-devel, libusb-devel, and portaudio-devel.

ということだったが,少なくとも Bullseye ではこれだけでは足りなかった.
以下が追加で必要であった.

  • libqt5multimedia5-plugins

このパッケージなしでwsjtxをビルドすると,オーディオのプルダウンリストが空になってしまった.
asciidoc などのインストールに苦慮する場合は以下のスイッチで逃げる手立てもあるようだ.

cmake -DWSJT_SKIP_MANPAGES=ON -DWSJT_GENERATE_DOCS=OFF ....

「FLrig と FLdigi を個別にビルド」に関して

FLrig はハマったポイントはなかったと記憶している.いっぽうで FLdigi に関しては libjpeg9-dev ではNGで,libjpeg8-dev をインストールして使った.

先行者スクリプトについて

一連の作業を行った 2022年6月末現在では AmRRONスクリプトはBullseyeにはまだ対応していないが,KM4ACKのスクリプトは対応しているという話があるので,試されたい.

*1:WSJT-xホームページ記載

「えれきパンダ」の製作

https://gyazo.com/6ba2d67944d6d70ba1fbbb754a8ce771/max_size/1000

それほどCWをやらない割にエレキーを作るのが好きです.最近は無線機の機能として搭載されているので作る人が減った周辺機器の一つと言えましょう.
それでもエレキーの頒布を行っている方が幾人かいらっしゃって大変お世話になっております.
昔のCMOSTTLを並べて作られていたときもそうですが,今やほとんどがワンチップマイコンでのエレキーになっているなかでも,設計する人によって着目点や優先順位が異なるのでしょう,出来上がったモノに微妙な差異があって,打ちあじが違うのが面白いところです.
そしてメモリー.自作界隈でもワンチップマイコンならではのメモリーキーヤーが当たり前になりました.多くが4チャネルぐらいのメモリを持っていたりします.

あるとき,

  • キーヤーのメモリがもうちょっと欲しい,増やしたい
  • 手打ち動作は他者設計のキーヤーでなく自分でチューニングしたエレキーの打ちあじが欲しい
  • ときどきバグキーのように長点を長めに出したいときがある

といった自分の内なる要望に気が付きました(3番めは 止めとけ って感じですけど).
その解法として思い至ったのが,

気に入ったメモリキーヤーやエレキーや縦振れ電鍵を全部パラって繋げればいいんじゃね?

でした.

さっそく作ってみました.

回路図はこれです.
A circuit diagram of Elekey Expander
複数(この場合は4個)のエレキーの出力をワイヤードORしつつフォトMOSリレーを駆動しているだけです.
パドルを複数使えるようにするのではなく,最終的に make~break となるON-OFF信号でパラっています.排他処理はありません.複数を同時に打つと信号はORされるので,大抵の場合はわけの分からない長めの打鍵が出力されるでしょう.
エレキーのキーイング方式や,GNDの取り方によって使えないものもあると思いますので,回路図を見てご自身で判断されてください.

チャネル数を絞って小さく作ることも出来ます.冒頭の写真はFRISKケースに入れたものです.
4チャネルにしてもこのサイズ.コネクタサイズが支配的ですね.
gyazo.com

箱入れするとこんな感じ
gyazo.com

機器の名前をどうするか悩んだのですが,twitterでご意見をいただいて「えれきパンダ」と名付けました.

開局40周年

中学2年生になったばかりの春休み,昭和55年の4月期の国試を受け,それに合格して電話級アマチュア無線技士資格を取得しました.

小学校5年生のときに雑誌『初歩のラジオ』でBCLを知り,父親の持っていたラジオ,ソニーICF-5500で試しにチューニングしてみたラジオ・オーストラリアを聞くことができすっかり魅了されました.自分のラジオを入手(松下・プロシード2800)して部屋の天井に電線を這わせて画鋲で止めてラジオを聞いていました.中学ではBCLクラブを作って夏休みに合宿したり.

ようやくハムになりましたが親からは高校受験が終わるまでは開局は禁止されていました.しかし受験が終わったらすぐに電波を出したいと考えてタイミングを見計らって開局申請を提出.受験が終わってしばらくした頃,免許状が届き,免許状の年月日は昭和57年3月1日でした.いろいろあって初めて電波を出したのは3月17日ですが,私としてはこの免許の年月日 3月1日 を開局記念日としています.覚えやすいし.

IC-502A と テレビアンテナのマストを拡張してその上に取り付けたヘンテナフォークでハムライフが始まります.高校生活のスタートとだいたい同じタイミング.田園都市線沿線の県立高校でアマチュア無線部もありましたが入部はしませんでした.当時横浜に住んでいたので JA1ZQA まわりをちょろちょろしていた同世代と仲良くなって夜な夜なラグチューしたりしていました.4月の終わり,ALL-JAの前あたりでしたが,初めてのEスポ体験は感動しました.バンドがザワザワして遠くのエリアが聞こえて,あちこちで読んでいる音が聞こえて,そのうちにすーっと静かになってしまう空気感をよく覚えています.
高校1年生の夏休みに親戚のやっている電気店で住み込みでアルバイトして,もらったアルバイト料でピコ2を買いました.アンテナは室内に画鋲どめした300Ω平行フィーダで作った Slim Jim です.そんな設置でも横浜から筑波山移動局とQSOできたりしました.
高校1年生の9月期の国試で電信級を取得.ほそぼそとCWも始めます.移動局を呼ぶぐらいでした.

ただ100%無線三昧かというと必ずしもそうではありませんでした.最初に見たのが『初歩のラジオ』でその後は(小遣いの関係で)不定期購読を始めたわけですが,そこに載っていた無線も電子工作もオーディオもマイコンもぜんぶ興味を持ってしまったのです.可処分時間と可処分小遣いには限りがありますから,アマチュア無線も one of them で,割かれる時間と費用も限定的です.バンドもやっていたので楽器代にスタジオ代,エフェクタは自作していました.バンドの練習のあとのドムドムバーガーを断って紅葉坂に行くとかしていました.
これについては今もそうです.電気・電子工作のなかのひとつのジャンルとしてのアマチュア無線という位置づけです.
年間QSO数は開局初年度で300局ぐらいかなぁ.大学入試や他が忙しいと年間数QSOということもあり,だいたい多くても200局/年ぐらいの隠れキャラポジションです.

私立の理系の大学に進学します*1.無線部がありましたがコンテストに力を入れているというわけでもなく緩い感じ.クラブ自体は戦前からの歴史の長いところで,OB名簿を見ると戦前コールサインの人がたくさん.しかし付属の高校のほうが戦後のクラブコールサインも早く,コンテストガチ勢でした.大学の無線部はゆるくて付属高から大学の無線部にはあまり入らないといった感じ.無線と冠しながらコンピュータやオーディオや電子工作もやっていてそっち目当ての人も多い感じで,そこに入部しました.入ってみると年の半分はクラブ総出でやっていたアルバイトに注力で,設備がリッチで資金潤沢な理由もよくわかりました.まあこのあたりはネットに書くのもなんなので割愛します.
ゆるい無線部との相乗効果で自宅の方は徐々に拡充していきます.

実家住まいでしたが大学に入ってまもなくタワーを建てました.KT-12Rだったかな.上には6mの6ele YAGIを揚げました.しかし無線機はIC-502A 3Wのままでした.それでもグランドウェーブの伸びを感じて嬉しかった.無線部だったので無線部の連絡用に430MHzのFMトランシーバを買いました.TH-41だったと思います.実は年次の近い先輩にケンウッドに勤務されている方がいたのでクラブの連中はしばしばお願いをしていたのでした.430MHzのFMハンディトランシーバとシャープのポケコンはしばしば買い替えていた記憶があります.アルバイトは家庭教師ぐらいでした.大学のときは音楽バンドはやっていなかったのでそちら方面に費用はかかりませんでした.大学2年の春休みに2アマの4月期国試を受けました.まだ送信術があって試験は記述式でした.ちょうど電磁気の授業で勉強したばかりのアンペールの法則あたりの問題が出ていたので周回積分まで使って記述できました.
2アマを取ったのでHF機を購入*2.クラブの先輩からFT-101ZDの中古を安く譲ってもらいました.アンテナは21MHzの3ele HB9CVを揚げました.このときに3月1日の当初開局局を固定局に変更して新たに移動局を開局しました.昭和61年8月20日の日付でした.当時の開局資料を見ると IC-502A,ピコ2,TH-41 でした.これが現在の継承局となっています.
クラブの先輩がアメリカ出張でTAPRのパケットTNCの生基板を買ってきたのでクラブの電子工作スキルの高いやつが組み立てて,ほどなくタスコのTNCも一般的になってパケットブームになりました.一時はPC-9801F2を2台ほどRBBS運用に充てたりしていました.クラブでは無線パートのパート長をやっていました*3.パケット関係でお知り合いになった県立高校ハムクラブのRBBSの常連ユーザの皆さんと宴会したり,ZQAの公開に行ったり,PRUGの会合に行ったり.部員が横浜市白山のレピータの周波数で問題を起こして*4その年の年末の納会に謝りに行ったこともありました.
無線部だから身の回りは無線資格保持者だらけ*5でしたし,ちょうど「わたスキ」映画のあとぐらいの理系の学部なのでクラブ以外でも無線資格保持者は掃いて捨てるほどいました.クラブ連中で遠出するときは無線は必ずある.車に4人乗っていたらハンディ機は6台あるような状況でした.
ハムパート長は代替わりをしましたが,在学中に部室棟*6の建て替えということになったときに後輩が頑張ってくれて屋上に立派なタワーを建てるに至りました.

修士課程に進んだぐらいがアマチュア無線関係はいろいろとやっていた感じです.専門学校の講師と雑誌の連載記事執筆で得た資金を惜しみなくつぎ込んで無線機とパソコンは増えるばかりでした.研究室の先輩が私の影響で無線局を開局.7K1Axx でした.その先輩と一緒になって移動運用したり,先輩が見つけたオフィス用品のリユース店でPC-9801を物色したりミニFAXを仕入れて改造してアマチュアミニFAXをしたりしていました.ついにはPanaFAX3000まで手に入れて遊びはじめます.この頃にはHFはFT-101ZD,TS-440S,あとピコ21も買いました.50は IC-502A,144はピコ2とTH-K27,430はTH-41~TH-45~TH-F47~TH-K47,TS-811D,TM-411D,1200にTM-531と見事にケンウッドがドミナントになりました.あ,あと50MHzにクラブの後輩が作ってくれたリニアアンプをあてがってIC-502A+リニアで35Wぐらいまで出るようになりました.単体のIC-502A 3Wで8年ぐらい引っ張ったことになります.この頃は頻回に変更申請を出していました.Candy3で送信機系統図図面を描いてね.アンテナは50MHz 6ele,21MHz 3ele HB9CVのまま,144/430/1200MHzのGPが2本.144MHzの Slim Jim もまだありましたが「他フレンド局待機しております」に馴染めず…
オンエアの中心は50MHzと21MHzでした.TS-440Sのアンテナチューナでときどき3.5とか7にも出たことはあります.タワーが有ったのにワイヤアンテナをいろいろと試してみるということもあまりしませんでした.今の状況からすると恵まれた環境だったのにもったいなかったですね.
そういえばソヴィエト崩壊のときは地下放送が流れました.NHKで映っていた無線機の周波数に合わせたらなにか聞こえたのでどきどきした覚えがあります.BCLやハムでないとなかなかできない体験ですね.
在学中の研究の学会発表でハワイに行ったときに ピコ21で KH6/JO1MMI を運用しました.八丈島の1局しかお相手いただけなかったですが.

電機メーカーに就職しても数ヶ月はこんな生活でした.会社の無線部もありました.入部はしませんでしたが,身の回りには現役ハム,元ハム,スキーだけハムなどたくさん.JARLの終身会員費用を払ったのもこの頃でした.
しかしだんだん仕事が忙しくなってくると電波伝搬的に美味しい時間に運用できなくなってきます.6時に家を出て0時ぐらいに帰るとかいうのが続くと無線も難しいです.そのうちに実家から引っ越してタワーにアクセスできなくなり,環境は激変します.しばらくは移動運用で遊んでいましたがなかなか時間が取れなくなってきます.
寝かせておいても無線機は腐ってしまうのでリストラ*7を断行,固定局(3月1日局)を廃局して移動局(8月20日局)を存続,手元には就職後に買った IC-X2 *8と TH-F7 *9 だけになりました.実家のタワーもその後の海外留学*10のタイミングで撤去しました.

その後はしばらく低迷状態に入ります.趣味活動自体は全開ですが,アマチュア無線のボリュームが大きく下がりました.アマチュア無線活動は仲間内でしゃべる,ツーリング時にしゃべる,ときどきCQ誌を買う,気が向いたらハムフェアに行くぐらいになっていました.ハムフェアは知り合いに会いに行く感じ*11.もちろん局免を落とすようなことは決して無いのだけれども,それでもやはりSSBやCWや無線関連工作をしていないとアマチュア無線をしている感じがあまりありません(個人の感想です).さらに別の住まいに移り,ラグチューする仲間も遠くなりました.バイクも乗らなくなったし.なんか異様に無線の入りが悪いし,アンテナを出すのは以ての外,そんな住まいです.さらに無線が遠のきます.それまでも受験や学業の波で年に数局とか丸1年ログが飛んでるとかありましたが,今回はちょっと長かった.それでもときおり電子工作の対象として舞い戻ってくることもあり,GPS関連工作に嵌ったときにはナビトラビーコンを作って実験したり,ワイヤレスマイクを作ったりしていました.それでも基本的にはアマチュア無線ではない電子工作に没頭.20数年はある電子工作コミュニティの活動にコミットしていました.

アマチュア無線のボリュームが増えるきっかけとなったのはDVB-Tドングルを使ったSDR受信です.最初のうちはFMのワイド放送などを聞いていましたが,仕舞われていた144/430/1200MHzのノンラジアルホイップを出してきてハムバンドを聞きました.ほとんど何も聞こえなくて大変びっくりしました.住環境が心底アマチュア無線に向かない環境であると気づくのはもう少しあとのことです.それでも関東UHFコンテストをDVB-Tドングルで聞いて「ほう,1200MHzもCW/SSBにこんなに出てくるのか,そういえば以前の環境では1200MHzはFMとパケットしか出ていなかったな」 そしてIC-9700を知ります.50MHzに未練が有ったのでまずはIC-705を注文しました.が,バックオーダー多で入荷が遅い.先にIC-9700が届きます.IC-9700が50MHzに対応していたらその1台で止まっていたかもしれません.IC-705でも遊んでいますがイマイチ飛ばず*12,頭に「QRO」という言葉がこだましてIC-7300Mを買ってしまいました.昔はIC-502A 3Wやピコ2の200mWで何年もやっていたのになぁ…

我が家のアンテナは窓の直外やベランダアンテナを試しますが調整がたいへん難しいです.そういえば今までは平衡型のアンテナしか使ってきませんでした.モービルホイップもVUのノンラジアルばかりでした.初めての 1/4λ を皮切りに各種アンテナに取り組むことになりました.教科書や巷の情報をもとにアンテナの調整を図ってもことごとくうまくいきません.逆張り*13したほうがSWRが下がることもしばしば.たまに近所の公園でアンテナを揚げてみて「アンテナの回りに空間があると教科書どおりに動くんだ!」とか感動しています.加えて運用制約がいくつかあって,ベランダ側アンテナは運用の都度に設置しなければなりません.調整を追い込むこともできず「10分間で仕度しなっ」というインスタント設置が求められます*14

そんなこんなで「今日もアンテナ出せないなぁ」「今日も飛ばないなぁ」などといいながら嬉々として次はどういう工夫をしようかと考えながら,41年目に突入しました.

*1:2年時に学科確定するシステムで,のちに電気工学科に進みました.

*2:なぜか自分の中でHFは電信を取ってから,新モードは2アマを取ってからという拘りがあったので.初級にもモード解禁されていたのにね.いや,単にお金がなかったからかもしれませんけれども.

*3:コンピュータとかオーディオとかパートごとに長を定めていました.

*4:スタンドマイクに誤って荷物が乗ってPTT押しっぱなし電波を出しっぱなしにしてしまった.

*5:4アマぐらいは取るような空気はあった.

*6:入学当時はプレハブ平屋だった

*7:このときに処分したBird 43型電力計は惜しかった.

*8:就職後に購入.久しぶりに買ったケンウッド以外の無線機でした.電池の液漏れで電池ボックスはだめになってしまいました.

*9:なにかのおりに大学のクラブの先輩にもらったもの.先輩はほどなく亡くなってしまいました.

*10:行った先では無線の免許は取りませんでした.教科書は買ったのだけど他が忙しくて…

*11:大学のクラブで修士に行くときに大学を移ってJA1ZLOに入った人が居て,あそこは修士課程でも入れるんだとか思いました.

*12:それはアンテナのせいだったのですが.

*13:カウンターポイズを短くするとか張らないとか

*14:運用時間も限られるためパイルに参加して呼ばれるのをのんきに待っていることがなかなかできない状況にあって,FT8は大変にありがたいです.交信しなくてもPSKReporterで取り組みの確認ができます.

IC-9700用持ち出しボックスシステム



これまで IC-705用、IC-7300M用を気軽に持ち出すためのツールを作ってきました.

jo1mmi.hatenadiary.com
jo1mmi.hatenadiary.com

これはひとえに我が家の無線機常設環境が貧弱なためです.普段無線機を置ける場所ではまともなアンテナを展開することができません.鳥かごのなかにYouLoop互換アンテナと144/430/1200のGPが置いてあります.こんなアンテナ設置です.

しかも向かいは金網入りガラスになっています.共用廊下なのでこれ以上のアンテナは無理です.といいながら時々1200MHz 5ele や 430MHz 3ele を窓柵に咥えさせて設置することもあります.

我が家でまともに電波を出そうと考えたときはアンテナをベランダに,それも時間を区切ってそのときだけ,展開することになります.「無線をやろう」からのアンテナの設置と無線機や必要備品の移動と設置を経て運用が始まるわけですから準備のデッドタイムを縮小したい,そういう考えからこれら持ち出しツールを作りました.もちろん移動運用に使っても全く問題ないです.上記のふたつはいずれもバッテリ駆動を前提とした持ち出しツールになっています.

さて今回はIC-9700です.
IC-7300MのほうはGoBoxに入れっぱなしにしてしまいました.展開したときのみ電源が入ります.もったいないですが,普段のウォッチは北側常設部屋にIC-705+上記写真のYouLoopで.KTWRすらほとんど入りませんが,FT8で見えるJAがどんなところとQSOをしているかをモニタしています.
一方 IC-9700 は普段から使えるように設置してあります.アンテナは上の写真のVX4000というノンラジアルGPです.144/430/1200MHzに対応しています.144は苦しそうですが,430と1200は柵や金網目をくぐり抜けあちこち反射して思わぬところまで飛ぶことがあります.Phoneではほとんど呼び負けますが,FT8はまだ可能性があります.
そんなIC-9700ですが,たまにはベランダ側や屋外に持っていきたい.ということで,IC-9700版持ち出しボックスです.

コンセプトは,普段使っている場所からスッと引き抜いて別箱と合体・移動させて即運用,です.

材料は以前使っていたが今は使わなくなったすのこマットのすのこです.我が家にマッチするようにもともと1000mmの幅だったものを800mmに切り詰めて使っていました.分解したら10mm厚・80mm幅・800mm長 の板がたくさん,になりました.これを組み合わせて,160mm幅でIC-9700を固定する「腹巻き」状のケースを作ります.

RIGの固定はモービルブラケット,持ちやすいようにハンドルを付けました.ブラケット固定のネジ頭が出ないように足をつけておきます.全体を覆わない「腹巻き」なので普段の置き場所での運用で邪魔になりません.

バッテリと備品を入れる「下の箱」を作ります.

「腹巻き部」を乗せて一体化することができます.乗せるだけ.固定はしません.写真を見る限りうまいこと嵌っています.計画通りではありますが,その実態はすべてその場しのぎの設計で現物合わせです.

バッテリを収めるとこんな感じですね.あとこの写真では,RIGの前後保護部の途中状態のものが乗っています.

「腹巻き」だけでは前後むき出しなので,屋外に持ち出すときなどなにかに当たってしまったら危ないです.腹巻きの上からスポッとかぶせる「上の蓋」で前後ツマミ類コネクタ類を保護します.木片でバッテリ→シガープラグのUSB出力を設置できる部品も作っています.

「下の箱」「腹巻き」「上の蓋」の全部を合体させるとこうなります.

写真が広角なので伝わりづらいですが,「腹巻き」だけのときはむき出しだったツマミ類が「上の蓋」のおかげで少し引っ込んでいるのがわかると思います.我が家は自家用車を持っていないのですがそれでもキャンピングワゴンなどに乗せて外に持ち出したい野望があって,そのときにツマミ類が他のアイテムとぶつからないようにという意図です.場合によっては正面カバーを付けてもいいかな.

これで一応は完成です.「上の蓋」と「下の箱」を固定するパッチン錠を用意してありますが,ちょっと工作活力が減退しております.そのうちに取り付けることにしましょう.


なお「下の箱」は使わないときは事実上「物入れ」となって部屋の床に転がっています.このままではただ邪魔なだけなので,「下の箱」にかぶせる「物置き蓋」を作りました.郵便物とか書類とかとりあえずものを置くのに使っています.

マイクロホン・インターフェース ― 無線機側の状況

当局の IC-7300 と IC-9700 にマイクロホンのインターフェースを作ろうという話です.ハンドマイクやスタンドマイク,ヘッドセットを切り替えたり,メモリ呼び出しボタンを立ち上げた,そんなインターフェースを考えています.
今回は無線機側を少し調べてみました*1

もちろんメーカーのマニュアルがあってマイク端子について記載があるのですが,いまひとつよくわかりません.ACCのほうはインピーダンスと信号レベルも書いてあるのにね.
軽く調べてみたところ以下のような感じでした.

ピン番号 機能 IC-9700 IC-7300
1 MIC入力 DC +8V重畳 DC +8V重畳
2 DC +8V
3 MIC KEY入力
4 SQL Open時GNDレベル
5 PTTスイッチ
6 PTT GND
7 MIC GND
8 音声出力 ラインレベル ~約300mV スピーカレベル ~約10V

マイク入力でのDC重畳については IC-9700には取説記載があるのですが,IC-7300の記載がありませんでした.7300と9700でマイク駆動の回路を変えなければいけないのか?と不安になっていましたが,解消されました.まあ,Cで切ってまた乗せればいいのですけれど.

困ったのが音声出力です.IC-7300は最大で13Vppぐらい出てきてそのままスピーカやヘッドホンを駆動できました.それに対してIC-9700はAFツマミを最大にしても400mVppぐらいの信号でした(クリップ気味).300mVrms,-10dBV,ラインレベルということでしょう.おまけにFMでスケルチが閉じている時でも130mVppぐらいのノイズがありました.このノイズは100kHzとか800kHzぐらいで,電源(DM-330MV)のスイッチング周波数を変化させると様子が変わる感じだったので,電源由来の成分も大きそうです.LPFで低減させることはできそうです.しかしレベルが低いのでIC-9700ではアンプってやらないといけません.どうしてこういう部分で仕様を変えてしまうのかなぁ… 音声出力部はマイクコネクタに立ち上がっているものを使わず,別に電線を用意してPHONES端子から引っ張ったほうが良いかもしれませんね.

追記

ICOM IC-7300とIC-9700でマイクコネクタのAF出力の仕様が異なる件」
ICOMのサポートに問い合わせたところ回答を貰いました.回答内容の転載不可とのことでしたので,気になる方は個別にICOMにお問い合わせ下さい.

*1:本検証内容は,個体やロットによって違ってくる可能性もあります.