ATU-100の組み立て

アマゾンで4539円で買ったオートアンテナチューナATU-100のキットを組み立てました.
ATU-100 は N7DDC が開発したオープンハード,オープンソースのATUプロジェクトで,さまざまなところからキットが売られています.たとえばこんなの

ATU-100 は完成品も売られています.リポ電池を内蔵したものもあったりしますが,DC-DCでノイズを撒いているっぽくて「電池を外した」などの記載をいくつか見ました.自分で工夫のできるキットがおすすめです.

工夫

特に大きな工夫はありませんが,いくつか手を入れたこととか.

L

このATUの仕組としてはリレーでLCネットワークの定数を選択しながらSWRが妥当なところに落とし込む方式です.なので,なるべくLの値が設計想定値に近いほうがいいだろうと考えて,LCRメータで値を見ながら空芯コイルやトロイダルコイルを巻きました.そのため組み立てインストラクションよりも1,2ターン巻数が少ないものができました.
個人的に高周波系の電子工作は経験が少なく,L巻き作業もそんなにしたことがなかったので,勉強になりました.

ケース

ケースはタカチのものを使いました.けっこう奥行きがカツカツです.もう一回り大きいものにしたほうが無難でしょう.SMAコネクタを基板直付けしてケースパネル貫通で引っ張り出しています.
OLEDディスプレイの向きを間違えたケース加工をしてしまいました(うーむ).
https://i.gyazo.com/436bc23bda0f91446e661277401342a2.png
シリコンバンド付アルミモバイルケース(PDF)

タンデムマッチ

タンデムマッチトランスの巻線比を変えています.これは数Wの電力でチューニングを取ろうとした場合にキットオリジナルの巻線比では適切なSWR検出ゲインが得られないらしいという話があって,それに対応した改造です.以下の動画に具体的な手順が詳しいです.この改造にあたっては巻線比変更に合わせてマイコン(のフラッシュかEEPROMか)に書かれているATU-100の設定パラメータを書き換えたほうが良いです.電力表示が正しくなります.
www.youtube.com
ちなみに私は書き換え時にやらかしてしまいました.PICKit4 のツールを初めて使ったのですが,Writing専用ツールを使うところをIDEからWritingツールを使ってしまいました.空のプロジェクトをビルドしてATU-100のマイコンに書き込んでしまいました.
慌てて本家のGitHubからオブジェクトをもらってきて書き込みましたが,ディスプレイが表示されません.ATU-100プロジェクトでは複数のLCD/OLEDディスプレイに対応できるようにこのあたりの設定も書き換え可能になっています.キットに使用されていたOLEDディスプレイに合ったディスプレイ設定値を書き込んで事なきを得ました.オープンソース万歳.
GitHub - Dfinitski/N7DDC-ATU-100-mini-and-extended-boards

電源周り

IC-705で使用することを想定して電源ケーブルを作りました.
他の無線機との兼ね合いもあって XT60コネクタで電源システムの構築をしようとしていたので,これを使ってIC-705本体とATU-100に電源供給する2分岐ケーブルを作りました.
https://i.gyazo.com/9ac1591d77954aac3392c2b9db4d8e6c.png

初期検討でポータビリティの面から電池利用を考えました.ニッケル水素3本から12Vに昇圧(ストロベリー・リナックスのDC-DCを試用)してATU-100の電源にしてみたのですが,DC-DCをATU基板に近づけるとノイズが混入しました.それもけっこう強い.ケース内で上手に遮蔽できる気がしないのでDC-DC利用は諦めました.
またATU-100の消費電流を見てみました.リレーがラッチングではないのでON/OFFの個数に応じて電流量が変化します.いろいろTUNE取って試した範囲では26~100mAぐらいの消費です.この電流だとそもそも電池利用は難しかったなと思います.

持ち出しボックス


できました! こんな感じ!

IC-705用持ち出しボックスの製作 - ブログ JO1MMI

参考リンク

TUNEボタンを押すのでなく,IC-705本体からやりたいなーという場合には以下のリンクが参考になるかも知れません.自分では やっていないのでわからんですが.

追記

以下のページを参考にしてATU-100にインターフェースを追加しました.ステレオミニプラグでIC-705と接続して,IC-705からATU-100のON/OFF,Tuneの制御ができるようになりました.使い勝手としては AH-705 とおそらく同等だと思います.でも AH-705 はラッチングリレー使用で単三電池2本駆動できるのが羨ましいです.