IC-705とコンピュータ

IC-705を入手して,パソコンとどう繋ぐかというのははじめのうち試行錯誤でした.
今は実際の手順をスクリーンショットも含めて詳説しているブログも多く出てきたので,本ブログで細かく書くこともないと思いますが,「これができた」という事実をインターネットの片隅に置いておきたいと思います.

IC-705とWindows

まあ,これは記事を書く人がいっぱいいるでしょう.私のアクティビティは次のとおりです.
IC-705+Windows10 で WSJT-X を動かすことができました.リグコントロールは WSJT-X にやらせているため,IC-705のCI-Vアドレスは IC-7300のものを騙らせています.
他には kgfax で気象FAXの受信をしました.IC-705の録音機能を利用して,アンテナを展開できる別の部屋で受信・録音して,Windows PCに持ち込んでの kgfax でした.
同じやり方で MMSSTV で,昨年末の ARISSイベントを,時間を狙って受信して MMSSTV でデコードしました.
他にAGWTracker/agwpe/soundmodemを用いてGPSデータを含むパケットをデコードしてみることができました.

IC-705とMac

OSはMojaveだったと思います.WSJT-Xを動かすことができました.リグコントロールは WSJT-X にやらせているため,IC-705のCI-Vアドレスは IC-7300のものを騙らせています.
MultiMode というソフトで気象FAXを受信したりしました.送信や他のモードは試していません.

IC-705とRaspberry Pi Zero(WH)

IC-705をPi Zeroに繋いで lsusb すると以下が見えました.ロットが変わると違う結果かもしれません.

  • TIのハブ
  • Prolific Technology
  • TIのPCM2901 Audio Codec

FTDIやPLのVCPドライバはLinuxカーネルにすでに取り込まれているということを聞いたことがあります.オーディオはUSB-AudioクラスでOSレベルで対応しています.したがってドライバのインストールは不要でした.
Raspberry Pi OS(32bit) に WSJT-X を入れてDEC/ENCすることができました.リグコントロールは WSJT-X にやらせているため,IC-705のCI-Vアドレスは IC-7300のものを騙らせています.
ただPi Zeroは非力でした.Windows PCが4メッセージをデコードしているときに,Pi Zeroだと1メッセージしかデコードしないといった状況がありました.

IC-705とRaspberry Pi4(8GB)

Raspberry Piの可能性を感じたのでRasPi4を買ってきました.(ソースコードを読んでから判断するべきですが)メモリが多いほうがWSJT-Xのデコード性能が高いかもしれないと考え8GB品を買ってきました.ちょっと高いけれど,メモリが多いことは良いことだし…
ドライバに関してはPi Zeroと同じ状況です.要するにドライバのインストールは不要です.
Raspberry Pi OS(32bit) に WSJT-X を入れてDEC/ENCすることができました.デコード性能は手持ちのWindowsPCと大差なく感じました.WSJT-Xは手動で入れましたが,それ以外は AmRRON scriptを使用しました.
リグコントロールを FLRig で行います.IC-705のCI-Vアドレスは IC-7300のものを騙らせています.FLRigとWSJT-Xが通信してコントロールできています.WSJT-X直接でも良かったのですが,FLdigiなどのソフトの親和性を考慮しました.なにより QSSTV は FLRig経由でないとダメでした.
FLRigが内部で呼んでいる hamlib はオープンソースなので,IC-705の設定をパッチしても良かったのですが,CMake のバージョンが合わない(しかもバージョン巻き戻しもできない版)ようなメッセージを吐いてビルドできませんでした.いや,AmRRONスクリプトを動かす時点ではmakeしているっぽいので,出来るはずなのですが,日和りました.
RasPi4 はヘッドレスで設定しています.有線LANは家庭内のLANに参加させ,WiFiではアクセスポイントを形成しています.有線ではPCからsshVNCで,無線ではiPadからVNCでRasPi4にアクセスできます.移動運用するときはiPadで操作できます.WindowsのノートPCを持っていないので助かりました.
なおIC-705の内蔵GPSのデータをRasPi4に送り込んで(IC-705側での設定が必要です),RasPi4の時刻設定をしています.RasPi用にGPSドングルとRTCモジュールを買いましたが無駄になりました.IC-705/GPS接続のないときはLANでNTPサーバに同期させています.
オーディオとCATコントロールGPSデータがUSB1本で通ってしまうIC-705,素晴らしい.
GPS同期の時刻やZulu time(UTC),グリッドロケータ,LAN状況,CPU状況,ソフトウェアの起動状況をダッシュボード表示してくれる Conky を使っています.Conky は Linux でよく使われる表示手段のようですが,KM4ACKがアマチュア用に作った設定があって,格好いいのでほんの少し手を加えて使用しています.
IC-705+RasPi4,実際の使用にあたっては「USBケーブルをRasPiに接続してIC-705の電源を入れてからRasPiの電源を入れる」など,手順を確立しておいたほうが良さそうです.使う段階でWSJT-XのオーディオI/Fを切り替えるのは面倒です.

移動運用のときはどんな感じか,電源はどうしているか,といった件は別記事に書きたいと思います.

以上,自分が取り組んだことを書きました.これらは実動の実績ありということです.ぜひみなさんの使い方,こんなことができた・できるよというのを教えていただければ幸いです.